私が生きてきた中で、いちばん綺麗だと思っている光がある。
車窓から午後の陽が差し込んで、全身がやわらかい温かさに包まれている時間。
少し眠たくなって、まぶたをゆっくり閉じかけたとき。
薄く開いた隙間から見える睫毛に光の粒が揺れている。
まぶたの裏には、優しい橙色が滲んでいる。
あの瞬間が、どうしようもなく好きだ。
写真にして手元に残したいと何度も思うのに、
その光は、目を閉じた私の内側にしか存在しない。
残せないからこそ、愛おしい。
触れられないからこそ、忘れたくない。
だから私は、光を撮る。
強さよりも、温度を。
形よりも、包み込む感覚を。
あの午後の橙色を、
いつか写真の中で再現できる日が来ると信じて。